イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
郁人の電話は、通じなかった。
メッセージを送っても、返事がない。
仕事を終えて、真直ぐ家に帰ろうか迷っていた。郁人に会いたいけれど手段が見つからない。結局は家で待つしかないのか。
けれど、郁人本人が最後に電話で話した時に、しばらく帰れないと言った。電話にも出ないなら、多分簡単には身動きが取れない状況なのかもしれない。
藁にもすがる思いで、私はバーに立ち寄った。
ひとりでバーに入るのは初めてだ。いつもならそんな緊張すること絶対しないが、今は必死だった。
ドアを開けてすぐカウンターを見たが、いつものバーテンダーさんがいるだけで目的の人物はいない。
落胆したが、そのまま店内に入った。
「ああ、歩実さん!」
バーテンダーさんは、なぜか私を見てほっとしたような表情を浮かべる。
「こんばんは。すみません、ちょっとお尋ねしたいことがあって……」
「動木さんでしょう?」
話が通じているらしい。
ひどくほっとして、涙が出そうになった。
「はい、郁人から、何かあったら動木さんを頼るようにって」
「とにかく座ってください。まずは落ち着いて」
カウンターに前のめりになりながら話す私に、バーテンダーさんは優しくスツールを勧める。
それから水のグラスを目の前に置いてくれた。
バーテンダーさんは、郁人からではなく動木さんから、私が来たら連絡をするように言われていたらしい。すぐに電話をしてくれて、それから小一時間ほどだろうか。
「いたいた歩実ちゃん! 頼ってくれて良かったよー」
やたら明るい声で店に入って来た。
メッセージを送っても、返事がない。
仕事を終えて、真直ぐ家に帰ろうか迷っていた。郁人に会いたいけれど手段が見つからない。結局は家で待つしかないのか。
けれど、郁人本人が最後に電話で話した時に、しばらく帰れないと言った。電話にも出ないなら、多分簡単には身動きが取れない状況なのかもしれない。
藁にもすがる思いで、私はバーに立ち寄った。
ひとりでバーに入るのは初めてだ。いつもならそんな緊張すること絶対しないが、今は必死だった。
ドアを開けてすぐカウンターを見たが、いつものバーテンダーさんがいるだけで目的の人物はいない。
落胆したが、そのまま店内に入った。
「ああ、歩実さん!」
バーテンダーさんは、なぜか私を見てほっとしたような表情を浮かべる。
「こんばんは。すみません、ちょっとお尋ねしたいことがあって……」
「動木さんでしょう?」
話が通じているらしい。
ひどくほっとして、涙が出そうになった。
「はい、郁人から、何かあったら動木さんを頼るようにって」
「とにかく座ってください。まずは落ち着いて」
カウンターに前のめりになりながら話す私に、バーテンダーさんは優しくスツールを勧める。
それから水のグラスを目の前に置いてくれた。
バーテンダーさんは、郁人からではなく動木さんから、私が来たら連絡をするように言われていたらしい。すぐに電話をしてくれて、それから小一時間ほどだろうか。
「いたいた歩実ちゃん! 頼ってくれて良かったよー」
やたら明るい声で店に入って来た。