イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
「動木さん、あの……!」

スツールから立ち上がる。

「眞島のことだろう。急なことになって、歩実ちゃんもびっくりしただろ」
「はい。それで、あの、郁人に会いたくて、でも」
「ああ、大丈夫大丈夫。葬儀が終わったらとりあえず一度は帰るよ。無責任なことはしないヤツだ」

良かった、とほっとして、けれど『とりあえず一度は』という言葉にまた不安になる。
動木さんは、私のスツールの隣に座ると、私の肩に手を置いて腰を下ろさせた。

ぽん、と背中を叩かれる。

「会社はどうだった? 何かあったからそんな必死な顔できたんだろう」

そう言って、ふたたびぽん、と背中を叩く。
頷いて、今日あったことを全部話そうとして、唇を開き、声が出ないことに焦った。
喉が詰まったようになって、代わりに嗚咽が零れ始める。

怖い。
これからどうなるの。

温かい応対に私は涙も不安も堪えきれなくなって、常盤さんに言われたことを泣きながら何もかも吐き出してしまった。


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