イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活

「そうか」
「郁人はあんまり読まないの?」
「そうだな」


 簡単な相槌のみが返ってくる。会話することに義務も感じない、沈黙を深読みする必要もない。ものすごく、楽な関係だった。
 もはや私たちの出会いは運命なんじゃないだろうか、こんな夫婦関係が築ける相手はそうはいない。


 平日は、大体こんな感じで過ごす。もっと彼の帰りが遅い時もある。休日も仕事をしているのか、こっちに来てから二度ほど迎えた土日は書斎にこもっていた。さすがに休日くらいは、私も食事を多めに作って彼が食べたい時に食べられるようにしている。


 彼からクレジットカードを預かっていて、生活経費の全てを出すように言われているので、いくら干渉し合わないと決めていてもそれくらいはして当然だと思ったからだ。
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