イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
「あ。屋台とかのお持ち帰りのは食べたことあるけど……」
素人が手を出すな! と言われてはいけないので、テコを使って丁寧に形を整えている郁人を、じっと見守ることにする。
「断然焼き立てを鉄板で食べる方が美味い」
郁人が真面目な顔で頷いてそう言うので、口の中に唾液がたまってしまった。少しお好み焼きを捲って焼き色を確認すると、彼が器用にひょいっとひっくり返す。計、三枚。
「もう焼けた?」
「裏がこれからだろ。もう一回ひっくり返したらソース塗って」
「わかった。すごく手慣れてる……」
「学生の頃はよくサークル仲間とかで食いに行ったからな」
そういう人を羨ましく見ていたのが私です。私もお好み焼き屋の前を通るときばかりは、友達が欲しいと心底思った。