イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
「す、すみません!私も今から……」
「経理は私の古巣だから大丈夫」
「じゃあ、他の資料作成を……」
「それも大丈夫。私がやるから」
急いだあまりに、冷たい突き放した言い方になってしまった。
……しまった。
後悔したけれど、今は経理に急ぐこととその後の仕事の段取りで頭の中が忙しく、それどころではなかった。
だけど、他の資料作成にしても急ぐなら河内さんに頼むより私がやった方が早いのだ。
……それにしても、もう少し言い方があったかもしれない。
きゅうっと胃の痛みを感じて手で押さえた。私から、周囲に馴染めるようにしてみようと思っていた矢先だったのに。咄嗟のことで上手くやれない自分にがっかりしながら、経理へと急いだ。