イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
今までひとりで食べるのが当たり前だったのに、デスクでお弁当を広げることがやたらと寂しかった。
そして定時を迎えた時だった。
すべての作業を終えてパソコンの電源を落とすと、息を吐きながら軽く首を回す。残業覚悟の仕事だったが、自分でも驚異の集中力で定時までに終わらせてしまった。
さすがに肩凝りは酷くなったようで。こきん、と首が鳴った。
……こんな時、落ち込んで仕事が手につかなかったりすれば、ちょっとは可愛げがあるのかもしれないのに。
そうしたら、郁人は私を励ましてくれるのかな。
……って、何考えてんの私。
これではまるで、私が河内さんに嫉妬しているみたいだ。郁人が誰かに優しくするのが許せないと、独占欲の塊みたいになっている。