イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活



「……お疲れ様です」


深く考えることから逃げるように椅子から立ち上がり、通勤用のトートバッグを手に取った。
郁人は、夕方頃に取引先との約束があるとかで外出してまだ帰って来ていない。私もどこかで軽く食べるか、弁当でも買って帰ろうと思ったのだが。


「歩実さん!」


オフィスを出てすぐだった、そう名前を呼ばれたのは。

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