イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活

「多分、9号くらいだったかと」
「多分じゃ困る」

「今日、帰りにアクセサリーショップでも寄って測ってもらってきます。メールで送ったらいいですか?」
「頼む。特に好みがなければこちらで用意しておくが」
「はい、それで大丈夫です」

 結婚指輪。そんな幸せの象徴のようなものに関わる会話だというのに、仕事の時の会話とテンションが全く変わらない。本当にその確認だけだったようで、彼はさっさとミーティングルームを出て行った。

 昨日のお見合いが夢でないなら、私は一応彼の婚約者ということになったのだが、これまでと変わらず私たちの間には淡々とした空気だけが流れている。別に、苦痛ではない。昨日、『提案』された求婚を受けるなら、その方がむしろやりやすい。
 だけど、本当にそんなことが可能だろうか?

 私はお見合いの席で彼に出された提案と、ふたりで考えた取り決めを思い出していた。

< 9 / 269 >

この作品をシェア

pagetop