イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活

「すっごく、怖かったんですよ……もう一段冷気下げれたんですね」


河内さんが、青ざめた顔でぶるっと身体を震わせる。

郁人が、怒った?
てっきり、仕事のミスで落ち込んで私にまで冷たくあしらわれた彼女のフォローをしてくれたのだと思っていた。フォローには、間違いないようだけれど。


「歩実さんは、私のこと馬鹿にしてるって思ってました。実際、歩実さんに比べたら私は仕事できないし、それも仕方ないと思ってたんですけど」
「え、そんなこと」
「でも、そうじゃないって。佐々木さんが教えてくれたんです。歩実さんが、私に無理が無いよう仕事を回そうとしてくれてたこと、ミスさえ注意すれば手際が良いって褒めてくれてたこととか、教えてくれて」

< 97 / 269 >

この作品をシェア

pagetop