恋愛下手な年下研究者の実験体になりました。
夢と会うために身なりを気にして、言葉や行動を女性好みのものにしようとしてくれていた。
そのままの律紀でいいよ、と言いたかったけれど、夢が「恋人らしい事をしたい。」と彼を困らせてしまったのを思い出しては申し訳ない事をしてしまったと、夢は今さらだが反省した。
「私が言えることじゃないけど、これからは律紀くんは律紀くんのままでいいからね。そんなに気を張って無理はしないでほしいな。」
「でも、夢さんの彼氏として恥ずかしくないようには、しっかりしますよ。」
「……そんなに頑張らなくてもいいのに。」
「何でですか?こういう服装とか嫌でしたか?」
そんなはずはなかった。
モデルのようにすらりとして、長身の彼は今時の服装をしていると、とてもかっこよくドキドキしてしまう。夢が嫌いなはずなんてないのだ。
ただ、心配なだけだった。
「……かっこよくなりすぎると、女の子にモテちゃうでしょ?……私の方こそ頑張らなきゃ、だよ。」
「それこそ困りますよ。もっと可愛くなったら、他の男に取られてしまいそうです。」
「…………。」
「…………。」
2人は褒めあっているうちに、お互いに恥ずかしく、そして嬉しくなってしまい、顔を真っ赤に染めてしまった。
中学生の初めての恋愛のような反応をしてしまい、夢は自分でも大人の余裕がないと思いながらも、気持ちは止められるものではなかった。
「………じゃあ、やり過ぎないぐらいにしようね。」
「そ、そうですね。」
夢はそうやって誤魔化して、少しギクシャクしたまま食事をすすめたのだった。