チャラ王子に捕まりました。
「クスッ…やっとこっち見た。あ…ねぇ、ひなちゃん。さっきピアノ弾いてる時何考えてたの?」
ぱっちりと目が合う晴琉くんは、優しい笑顔で私の乱れた髪を整えてくれる。
「あ…す、すみませんでした。睡眠中に私なんかの雑音が邪魔して…」
晴琉くん寝てたし、ピアノの下にいたわけだから、きっとうるさかったよね?
そのこと怒ってるのかな…?
「違う違う!それは俺が鍵閉めなかったのがいけないんだし。そんな事じゃなくて、何か嫌なことでもあったのかなって」
「え?」
なんで…?
どうして、そう思うのだろうか。
「ひなちゃんのピアノ、明らかに途中から音が変わったよね?だから、気になって」
すごい…。
コンクール上位を獲るくらいのヴァイオリニストになると、そんなことまで感じ取ってしまうのかな?
だめだ…。
今日会ったばかりの人にこんなこと話しても迷惑なだけなのに…