チャラ王子に捕まりました。
そう思ってはいるのに、優しく頭を撫でてくれる晴琉くんを目の前に勝手に口が動いてしまう。
「もう、辞めたいなって…。この学校もピアノも……私には合ってないんです」
…って、こんなことやっぱり迷惑だ。
我に返り、慌てて取り消そうと両手をふろうとした時…晴琉くんが私の言葉を遮った。
「あ、今のは…「んー、ひなちゃんはどうしてピアノを弾くの?もし、違ったら申し訳ないんだけど、俺さっきひなちゃんのピアノ聴いててこの子本当にピアノが好きなんだなって感じたんだよね」
さっきまでの笑顔とは違う…。
首をかしげて少し困ったように笑う晴琉くん。
“どうしてピアノを弾く”
「あの、えっと…は、晴琉くんの言う通り…だと思います。私はただ単純にピアノが大好きで…音楽の楽しさをもっと知りたい…」
そしてなにより、音楽の素晴らしさを伝えられる人になりたい。
なんて思ってるけど、実際人前では弾けない。