君が笑ってくれるなら、それでいい。〜君のいない世界〜
『ふえーん、えーん!』

誰もいない公園の中で1人泣いている少女を見つけた。

直感的にこれは夢だと感じる。

“どうしたの?”と言えない。

声が出ない。

『美桜〜!またここで泣いてんの!?』

『だってえ』

『美桜は悪くないでしょ!早く帰ろう』

『そうかなぁ』

『そうだよ。美桜は何も悪くない。悪いのはあいつらだ。それに、僕がコテンパンにしただろ?』

『うん、コテンパン!』

先ほどまで泣いていた女の子はもう笑っている。

『帰るよ、美桜』

『うん、——くん!』

女の子—私を慰めてくれた男の子の名前は、わからなかった。

< 31 / 120 >

この作品をシェア

pagetop