恋を忘れたバレンタイン
「ええ……」

 俺は、なんの事だか想像も付かず、少し不安に思いながら肯いた。


「失礼だとは思いますが、浅島主任の為に資格を取られたのですか?」

思いも寄らない言葉に俺は、佐々木さんへと視線を向けた。


俺は、佐々木さんの穏やかな目に、嘘を付いても仕方ないと思った。
 嫌、嘘をつく必要もない気がした。

「お恥ずかしい……」


「恥ずかしいなんてとんでもない…… 素晴らしい事です。この事を浅島主任にお話しされたのですか?」


「いいえ……」

俺は、首を横に振って下を向いてしまった。


「何故です?」


 なんだか、ずっと溜っていた事を俺は誰かに話したくなった。
佐々木さんならといいと思ったのも事実だ……
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