恋を忘れたバレンタイン
「だから?」

 そんな俺の言葉に、彼女は聞き返した。


「だから、自分が重くなるかもなんて気にするなよ……」


「えっ?」


「これからは、俺が上司になる事だってあるかもしれない。
 俺も、色々考えたんだ。俺が、上に伸し上がっていけば、美優が自分を重いなんて不安にならないんじゃないかって。だけどさ、大切な人を守ろうと思えば、重いと思うのは当たり前なんじゃない?」


 彼女に、俺の言葉の意味が伝わるだろうか?


「浦木君……」

 俺の名を口にした彼女の目から、涙が滲んだ。
 その姿に、俺は言葉を続ける。


「もちろん、これからも美優を守れるよう強くなるつもりだけど…… 重いと感じるのは、美優を大切に思うからだと思ってくれない? 一生、一緒に居たいから……」


 俺の、気持だ……
 ほとんどプロポーズに近いが、俺はこの気持ちを、これからずっと大切にていくと誓った。


「たべよう…… お腹すいたんだろう?」

 俺は、目に涙を浮かべ、鼻をすする彼女に言った。



 彼女は、テッシュを手にし鼻をかむとホークを持ち直した。

 なんだか嬉しさと、愛おしさが混じって、俺まで泣きそうだ……
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