恋を忘れたバレンタイン
デスクへ戻って行く彼を、私はぼーっと見つめた。
送って行くって言った?
どうして?
彼は、さっとコートを着て鞄を抱え戻ってきた。
「主任、帰る支度して下さい。自分でできますか?」
彼は、ハンガーにかかっていた私のコートを手に取った。
何でこうなっているのか分からい。
ボーっとなっている頭で考える。
とにかく冷静に……
「ええ。大丈夫よ。もう少ししたら帰るから……」
私は、お礼を兼ねて彼に微笑んだのだが、彼はまた私を睨んだ。
「さっきから、立ち上がれないでいるじゃないですか? 熱があるんじゃないですか?」
彼は、私にコートを掛けると、額に触れた。
驚いて、体がビクッとなりのけぞってしまった。
「だ、大丈夫よ」
私は、慌てて周りを伺ったが、もう殆どの社員が帰ってしまっていて、彼の行動を気にするような人は誰も居なかった。
「えっ…… 凄い熱じゃないですか? とにかく、頑張って立って下さい」
彼は、そう言って、私の腕を掴み引き上げた。
力の入らない体は、彼の腕にすぽりと埋まる。
流石にまずいと思い、足に力を入れ鞄に手をかける。すると、私より先に彼が鞄を持ち上げた。
彼のとの距離が近くて、ほわっといい匂いまでする。
何故、この人は、私が調子悪い事を知っているのだろう?
そんなに、だるそうな態度を取っていたつもりもないのに……
送って行くって言った?
どうして?
彼は、さっとコートを着て鞄を抱え戻ってきた。
「主任、帰る支度して下さい。自分でできますか?」
彼は、ハンガーにかかっていた私のコートを手に取った。
何でこうなっているのか分からい。
ボーっとなっている頭で考える。
とにかく冷静に……
「ええ。大丈夫よ。もう少ししたら帰るから……」
私は、お礼を兼ねて彼に微笑んだのだが、彼はまた私を睨んだ。
「さっきから、立ち上がれないでいるじゃないですか? 熱があるんじゃないですか?」
彼は、私にコートを掛けると、額に触れた。
驚いて、体がビクッとなりのけぞってしまった。
「だ、大丈夫よ」
私は、慌てて周りを伺ったが、もう殆どの社員が帰ってしまっていて、彼の行動を気にするような人は誰も居なかった。
「えっ…… 凄い熱じゃないですか? とにかく、頑張って立って下さい」
彼は、そう言って、私の腕を掴み引き上げた。
力の入らない体は、彼の腕にすぽりと埋まる。
流石にまずいと思い、足に力を入れ鞄に手をかける。すると、私より先に彼が鞄を持ち上げた。
彼のとの距離が近くて、ほわっといい匂いまでする。
何故、この人は、私が調子悪い事を知っているのだろう?
そんなに、だるそうな態度を取っていたつもりもないのに……