海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
――バタンッ!
焦る勢いのまま、扉を開け放った。
「アーサーさん、話があるんだ!」
勢い勇んだ私の呼びかけに、アーサーさんが困惑気味に振り返る。
「どうしたエレン?」
私のただならぬ様子を目にし、アーサーさんはいっそうオロオロとたじろいだ。
「とにかく座って話そう」
アーサーさんが私の背中に手を添えて、そっと促す。アーサーさんに背中を押され、私はアーサーさんと並んで寝台に腰を下ろした。
アーサーさんはずっと私の背中を、温かな手でゆっくりさすっていた。
「……俺さ、これまでにもやらかしたこととか、間違ったこととかあったよ」
長い逡巡の後に口を突いて出た私の言葉は、なんとも的を射ない曖昧な物言い。けれどアーサーさんは急かそうとせず、ゆっくりと耳を傾ける。
「でも、今ほど自分の馬鹿さ加減が身に染みたことはない!」
次の言葉を口にした瞬間、堰を切ったようにボロボロと大粒の涙が頬を伝った。
「エレン? いったいなんのことを言っている?」