海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
「そうか、そうだったのか。エレンはそんなことを気にしてくれていたんだな。奪っただなんて物騒な物言いをするから、俺はいったいなんのことかと思ったぞ。俺はエレンに、なにも奪われていやしない」
頭上から、まず聞こえたのはのんびりとした笑い声。その後は、緊張に体を硬くする私とは対照的に、とても軽い調子で言葉が続けられた。
軋む首を回し視線を巡らせれば、視界に飛び込むアーサーさんも、やはり穏やかな笑みを浮かべていた。
私はアーサーさんの両目をしっかりと見つめ、ゆるく首を横に振る。
「オーバーなんかじゃない。だって水は、海上にあっては、命そのものだ。水がなきゃ、人は渇き死ぬ。一回では無理だけど、だけど少量ずつを返させてほしい」
とてももらったままには、できない。けっして多くない一日分の水。それをまるまる譲り渡すなど、して平気なわけがない。なによりそれをもらったままに、しておいていいわけがない。
渇けば誰しもが、苦しいのだから。
私の言葉に、アーサーさんは驚きを隠せない様子で、目をまん丸に見開いていた。
頭上から、まず聞こえたのはのんびりとした笑い声。その後は、緊張に体を硬くする私とは対照的に、とても軽い調子で言葉が続けられた。
軋む首を回し視線を巡らせれば、視界に飛び込むアーサーさんも、やはり穏やかな笑みを浮かべていた。
私はアーサーさんの両目をしっかりと見つめ、ゆるく首を横に振る。
「オーバーなんかじゃない。だって水は、海上にあっては、命そのものだ。水がなきゃ、人は渇き死ぬ。一回では無理だけど、だけど少量ずつを返させてほしい」
とてももらったままには、できない。けっして多くない一日分の水。それをまるまる譲り渡すなど、して平気なわけがない。なによりそれをもらったままに、しておいていいわけがない。
渇けば誰しもが、苦しいのだから。
私の言葉に、アーサーさんは驚きを隠せない様子で、目をまん丸に見開いていた。