海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
「陛下、お持たせして申し訳ございません。アーサー提督をお連れいたしました」
「ふむ、ブラッド。ご苦労であった。少々アーサーとふたりきりで話したい」
「ははっ。なにかございましたら、お呼びくださいませ」
 ……なぜだ? ゼイゼイと息を切らせる俺とは対照的、ブラッドは息のひとつも乱さずに、涼しい一礼を残して颯爽と消えた。
 ……ふむ。ブラッドの奴は本来、武官が向いているのではなかろうか? これは今からでも、我が海軍に引き抜きたいくらいだ。
「アーサー!」
「ぅおっっ!?」
 首をひねりながらブラッドが消えた扉を眺めていれば、突然老陛下が俺の鳩尾に頭突きの攻撃を繰りだした。
 横にばかり大きな陛下は縦に短い。前かがみで突進してきた陛下の頭は不運にも、俺の鳩尾にジャストインだ!
 陛下は俺の鳩尾に、すっかり白い物が多くなった金髪頭をグリグリと突き入れながら、泣いていた。
「陛下!? ど、どうされたのですか?」
 いやいや、陛下。今泣きたいのは、……俺だ!
 常日頃、厳しい訓練で鍛え抜く俺にこれだけのダメージ……どれだけ石頭なのですか!
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