海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
「アーサー、そなただけが頼りだ。今回の総元締めの捕縛、なんとしても各国に知られぬよう秘密裏に、かつ、早急になしてほしい……」
 陛下が悲痛に訴えた。
 昨今は、各国の海洋進出が目まぐるしい。これまでは大陸間での行き来に限られていた人や物の流れが、ここ数十年で大きく変わった。
 新たな流通ルートに海路が加わり、各国が協定を結び、規定の入港税を定めて物の売り買いが行われる。しかし一方で、海路を利用した違法売買が散見されるようになった。しかも、これまでは別個の商船で行われていたそれらが、二~三年ほど前に総元締めが現れて、組織立てて行われるようになった。
 バーミンガー王国海軍提督の俺に課せられた使命は、その総元締めの捕縛。ただし各国に知られぬよう、ひそやかに事を運ぶようにとの厳命を受けていた。命を受けるにあたり、わかっている真実がひとつある。それは、総元締めと目される人物は我が国の、それも上層部につながる人物ということだ。
 けれど陛下が涙ながらに訴える裏には、単に自国に海洋犯罪の元締めを抱える以上の苦悩が想像できた。
< 124 / 203 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop