海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
あるいはこれが、エレンとふたりであれば……ふむ、悪くないな!
「船長、聞いていますか」
「あ? あぁ、聞いているぞ?」
本当はこれっぽっちも聞いていなかったが、表情をキリリと引きしめて答える。
マーリンの胡乱な目が突き刺さるが、そんなものは無視だ。
「……ハァ。エレンに向けるあなたの目が、あきらかに異常です。常軌を逸しています。これではエレンを少年だと思い込んで疑わない乗組員たちでも、あなたたちの関係を邪推するでしょう」
特大のため息の後でマーリンからもたらされたのは、予想外の切り口の内容。
船長たる俺と、その小姓との関係を邪推する? ……なにやらそれは、他への牽制になりそうな気がするな!
「……ハァァ。不幸にも、俺には船長の思考が手に取るようにわかってしまうんですよ。ですから忠告しますよ? あまりあからさまに見せつけますと、鬱屈したものがたまった乗組員たちに、エレンが手ごめにされないとも限りません」
「なんだと!?」
聞き捨てならない台詞を耳にした俺は、思わずマーリンに食ってかかった。