海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
「なぁなぁ、アーサーさん。その爺さんとアーサーさんは縁者なんだよな? 爺さんがまくし立ててる内容って、理解間に合ってるか?」
興奮する爺さんを横目に、私はアーサーさんの袖を引いて問いかけた。
「……いいや」
アーサーさんはずいぶんと長い間をおいてから、一言だけそう答えた。
「なぁ爺さん、力説してるところ悪いんだけど、俺ら全然理解が追いつかないよ。まずさ、ヘレネって誰? それから、俺のことも知ってるような口振りだけど、俺らって知り合いか?」
ならば本人に聞くしかないと、私はいまだ興奮に肩を震わせる爺さんの袖をちょいちょいと引いて問いかけた。
すると一瞬目を丸くして私を見下ろした爺さんが、今度は大仰にのけぞった。
「ぅおおおっ! なんということだぁあっ!」
「お、おい爺さん!? 年寄りがそんなんして、腰痛めるぞ!」
ふんぞり返って宙にほえる爺さんを慌てて引っ張る。
「ヘレネの娘がこのように乱暴な言葉を遣う、野生の猿のように育っているとは……おのれモードン侯爵領の子熊よ、貴様いったいどのような子育てをしたのだ!? そもそも子を宿したからといってヘレネとの結婚、断じて許すべきではなかった!」
興奮する爺さんを横目に、私はアーサーさんの袖を引いて問いかけた。
「……いいや」
アーサーさんはずいぶんと長い間をおいてから、一言だけそう答えた。
「なぁ爺さん、力説してるところ悪いんだけど、俺ら全然理解が追いつかないよ。まずさ、ヘレネって誰? それから、俺のことも知ってるような口振りだけど、俺らって知り合いか?」
ならば本人に聞くしかないと、私はいまだ興奮に肩を震わせる爺さんの袖をちょいちょいと引いて問いかけた。
すると一瞬目を丸くして私を見下ろした爺さんが、今度は大仰にのけぞった。
「ぅおおおっ! なんということだぁあっ!」
「お、おい爺さん!? 年寄りがそんなんして、腰痛めるぞ!」
ふんぞり返って宙にほえる爺さんを慌てて引っ張る。
「ヘレネの娘がこのように乱暴な言葉を遣う、野生の猿のように育っているとは……おのれモードン侯爵領の子熊よ、貴様いったいどのような子育てをしたのだ!? そもそも子を宿したからといってヘレネとの結婚、断じて許すべきではなかった!」