海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
「あ、違うよ! 父ちゃんはロマンチストだから、もっとまどろっこしい言い方してたけどな! ……でもさ、俺はそれを聞かされた時、どんだけ頑固に反対したんだよって首かしげたもんだ。だって、やっとこさ父ちゃんが重い腰上げて子づくり強行した時、母ちゃんはもう三十四だ。子供生むには遅いくらいだよ。父ちゃんのなにが気に入らなくてそんなに反対したんだよ? 俺が言うのもおかしいけどさ、父ちゃんは懐が深くって、ものすごくいい男なんだ」
 父ちゃんの名誉のため、一応のフォローは忘れない。
 だけどそれとは別に、爺さんが正当な理由もなく、父ちゃんと母ちゃんの結婚を十六年も阻んだとすれば、些かおもしろくなかった。
「……わしは、バーミンガー王家の血統を、いたずらにルドランス王国の民草に混ぜることを危惧したのだ」
「ハァ?」
 いきなりもたらされたとんちんかんな答えに、馬鹿にされているのかと思った。
「エレンの母君、ヘレネ様は陛下の御子か? そうしてエレンは現国王陛下の孫」
 だけど隣から上がったアーサーさんの声が、私の二の句を奪う。
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