海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!

 ……いや、冷静になれ。これはなにか、理由があってのことかも知れない。
 なにぶん私は、船の上の事情に疎い!
「ここの寝台だ。どうした? もしかしてシーツの寝心地が悪かったか? ……どれ、たしか素材違いがあったはず」
 アーサーさんから返った答えは案の定、ひねりもなにもあったもんじゃない、まさかの、しかし若干予感のあった答え!
 おもむろに毛布から抜け出したアーサーさんが、四つん這いになって寝台下の収納らしい部分をあさる。
「違う! シーツはむしろ心地よすぎるくらいで……って、そうじゃなくて! すっごい今さらだけど、ここはアーサーさんの船長室なんだろ? それで俺が占拠してたのがアーサーさんの寝台だったって、そういうことだろう!? 俺、空けるから! だからアーサーさんが寝台で寝てくれよ! 俺、大部屋の場所を教えてもらえればそっちへ行くから!」
 アーサーさんが、シーツを探す手を止めて立ち上がる。
 な、なんだ!?
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