海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!

 粗方食べ終えたところで水を向けた。
 私を過剰に気にかけることで、アーサーさんが船長としてやり難くなるなんていうのは、まったくもって本意じゃなかった。
「あぁ、そうだな。明日からは、そうしよう」
 あれ? 了承してみせるアーサーさんの肩はしょげ返り、なぜか寂しげに見えた。
「さて、それじゃエレン。飯も食ったし寝支度でもするか」
「うんっ!」
 返事をしてから気づいた。
 あれ? そもそも私って、寝るのここじゃないよな。
 最初に乗船交渉をした時、アーサーさんが言っていた。
『乗組員は一部官職者を除いて、大部屋で雑魚寝になる。プライバシーもなにもない、厳しい集団生活になる』たしかこんな言葉を聞かされていた。
 私は大慌てで、さっきまで使わせてもらっていた寝台の寝具を整えた。そうして部屋の隅に置かれていた私物の荷袋を手に持った。
 そうしてさて、私の今晩の寝床はどこかと、アーサーさんを振り返れば……!
 アーサーさんが寝台の下の床で、いそいそと毛布にくるまって丸まっていた!!
「……ええっと、俺は今晩どこで寝たらいいんだ?」
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