海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
「ってか、冷静に考えろよ? 百歩譲って俺とアーサーさんが同じ部屋だとしても、俺が寝台でアーサーさんが床ってのはおかしいだろう?」
「……ふむ。ならば今宵もふたり、床で眠るか?」
「え!?」
 俺の提案に、エレンが目を見開く。その頬が普段よりも朱色を濃くして見えるのは、果たして俺の願望が見せる幻だろうか?
 ……あぁ、エレンのキョトンと見開かれた瞳は、なんと美しいのだ!
 けれど突然エレンがガックンとうつむいたことで、綺麗な瞳は前髪に隠されてしまう。
 ……いや、瞳だけではない! エレンの額にサラリと影を落とす前髪もまた、なんたる美しさだ!
 俺がホゥっと見惚れていれば、顔をうつむかせたエレンが、念仏のように何事かをぶつぶつとつぶやく。
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