愛したい、愛されたい ─心を満たしてくれた君へ─
仲がいいのはいいことだけど、太一は夏休みも石田としょっちゅう会っているようだし、受験生なのにそれでいいのかと心配になる。

「花火大会ねぇ……。よくあんなところに行けるな。蒸し暑いし蚊に刺されるし人は多いし、花火見る前に疲れるだろう」

「いや、行かなくてもヒナの部屋から見えるんだ。涼しい部屋で二人きりで見た」

ああ……、またいつものノロケが始まった。

おおかた花火を見ている石田が可愛かったとか、花火を見ながらイチャイチャしたとか言うつもりなんだろう。

「それで?花火見て喜んでる石田が可愛かった、ってか?」

先回りをしてこの話を終わらせてやろうと思ったのに、太一は首を横に振って「違う」と言う。

「ヒナは何してても可愛い」

「はいはい……」

やっぱりノロケじゃないか。

ノロケ話を聞くのがバカらしくなってきてテキストを広げようとすると、太一はテキストを手で押さえつけてそれを阻止した。

「聞けよ、話はここからだ」

「ああもう……わかったわかった。聞けばいいんだろ」

とりあえず適当に聞き流して、話を早く終わらせてもらうしかなさそうだ。

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