愛したい、愛されたい ─心を満たしてくれた君へ─
俺がテキストから手を離すと、太一は満足げに話を続けた。

「二人っきりで肩抱いて花火見てさぁ……めちゃめちゃいい雰囲気じゃん?」

「へー、そうなんだ。そんでそのままキスなんかしてイチャついてたとか言うんだろ」

「そんなのするに決まってんじゃん」

「だったらいつもしてることをいちいち俺に報告しなくても…………ん?」

ちょっと待てよ。

これはつまり、あえて報告するまでもないことを言おうとしているわけではないっていうことか?

「もしかして……」

「そう……!付き合い始めて4か月、ついに俺は男になった!」

つまり昨日太一は石田と初体験を済ませたと、そういうことだ。

太一が石田と何をしようと俺には関係ないけれど、なんとなくモヤッとしたものが胸に込み上げた。

「男にね……。そりゃ良うござんした……」

詳しいことは何も聞かずに、太一の手を払いのけてテキストを広げようとすると、太一は物足りなさそうな顔をした。

「どうだったかとか聞かねーの?」

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