愛したい、愛されたい ─心を満たしてくれた君へ─
愛して欲しい
ぼんやりベッドに横たわっていると、ドアをノックする音がした。

寝ているふりをしようかとも思ったけど、それこそ子どもっぽいと思うし、英梨さんにあまり心配はかけたくない。

俺が返事をすると英梨さんはそっとドアを開けた。

「潤くん、お昼まだでしょ?食事の用意できてるから下りて来られる?」

「うん……そっか、そういえば昼飯もまだだったな……」

起き上がってもなかなか動く気にはなれず、ベッドに座ったままでため息をついた。

「……大丈夫?」

英梨さんはそばに来て心配そうに俺の顔を見つめる。

「さっきは見苦しいところ見せちゃってごめん。確かに腹は立ったけど、別にそれで落ち込んでるわけじゃないから大丈夫だよ。それより今日の模試は思ってたより難しかったから、ちょっと疲れたかな」

俺はまた作り笑いを浮かべて、わざとらしく伸びをした。

英梨さんはまるで自分のことのように、ひどく悲しそうな顔をしている。

「無理しなくていいの。誰だってあんなこと言われたらショック受けるよ」

「俺、誰と付き合っても続かないんだ。相手から好きだって言われて付き合ってもすぐにフラれる。吉野の言う通り、ホントつまんない男だから」

俺が笑いながらそう言うと、英梨さんは華奢な腕を俺の背中に回して俺を抱きしめ、その胸に俺の顔を埋めさせた。

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