というわけで、結婚してください!
 


「スマホ、持ったか」
と尊が鈴に言う。

「はい」

「バッグは?」
「はい」

「着替え」
「はい」

 出かける前のチェックをしている二人を見ながら、晴一郎は、修学旅行か……? と思う。

 尊が、出発前に生徒の荷物のチェックをしている先生に見える。

 鈴にはこういう男の方が合ってるとは思うんだが――。

 そう思いながら、二人を眺めていた。

「あ、お財布」

「それはいらん。
 俺が出すから。

 待てよ。
 そうだ、手帳は?」

 あっ、と声を上げた鈴に、
「よし、取ってこい!」
と尊が言い、

「はいっ!」
と鈴は駆け出した。

 犬か、と思いながら、二階に上がっていく娘を見ながら、晴一郎は尊に言った。
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