というわけで、結婚してください!
「『連れ去られたい』って、願いが叶う手帳に書いてあるぞ!
 俺はお前に操られてたのか!?」

 いや、そんな莫迦な、と鈴は横から、そのページを覗き見た。

 その日は、忙しいという理由により、花婿不在で行われた、衣装合わせの日だった。

 花婿の衣装は、鈴が選んだドレスに合わせ、店の人が勝手に決めた。

 ああ……とそれを書いたときの心境を思い出し、鈴が苦笑いしたとき、
「すずーっ」
と下から抑えた声で、父が叫んできた。

「お母さんの車が戻ったぞっ。
 早くっ。
 裏口から出なさいっ」

 慌てて、二人で下に下りる。

 鈴は階段下に居たぽすと父を見、ぽすの頭を撫でたあとで、父に言った。

「ありがとう、お父さん。
 大好きよ」
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