というわけで、結婚してください!
 いや、昨日もわざわざ窪田に言って、隣のヴィラを取ってもらったのだが……。

「いや、もうなんでもいいから、食べよう」
とこれ以上、鈴が挑発的な(?)行動に出ないよう、弁当を食べることにする。

 椅子はひとつしかなかったので、尊が椅子に座り、鈴がベッドに腰掛けた。

 ……俺が鈴のベッドに腰掛けるのも失礼かと思ったんだが。

 この配置もいろいろとなんだな。

 もう別々に食べるかな……とカルビ弁当の蓋を開けながらも尊は悩む。

 ヴィラは広かったので気にならなかったが。

 狭いビジネスホテルの一室というのは、密室感が半端ない。

 だが、鈴はなにを気にするでもなく、テレビのリモコンを取り、
「此処、なにかやってますかねー」
とか言い出した。

「なにかって?」

「だって、旅行行くと、全然知らない番組とかやってるじゃないですか。
 いつもとチャンネル違うから」

「……此処はお前の地元だ、莫迦者」

「……そうでしたね。
 ホテルなんでつい」
と言いながら、尊が此処でいい、と言ったバラエティ番組を見て笑っている。

 平和だ。

 俺の心の中以外は……。
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