というわけで、結婚してください!
「それに、危険だとわかっていても、戻ってくるほど、大事なものがあるっていいことだぞ」
と言ってやると、鈴は、

「そうですね」
と微笑んだあとで、なにごとか考えているようだった。

「……寝るか」
と言うと、はい、と言う。

 そのまま、尊は部屋を出た。

 隣の部屋は取れなかったので、少し離れた場所にある、おのれの部屋に戻りかけたが、戻らなかった。

 しばらく、そこに、ひとり立っていた。

 鈴がドアを開けて、
「やっぱり、こっちで一緒に寝ませんか」
と照れながら言ってきたり……

 なんて女ではないとわかっているのに。

 そのとき、ガチャリと音がした。
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