というわけで、結婚してください!
「さあ、鈴。
 気が済んだか?」
と晴一郎は言う。

「お義父さん」
と鈴と晴一郎の間に入った尊が呼ぶと、

「いやあ、まだ、お義父さんと呼んでは駄目だろう」
と晴一郎は厳しいことを言う。

「私はまだ、君を婿と認めたわけじゃないぞ。

 君は人を押しのけてまで前に出ようとしない。

 今回のことだって、君が強く主張していたら、君についた者も多くいただろうに。

 根回しが上手くて強引な征くんに、すべてを譲るようにして、君は身を引いた。

 君の会社の古参の社員たちからしてみれば、この人は上に立つ気がないんだな、と思えてしまうんだよ。

 金や地位がすべてじゃないが。

 こんな男で、妻や子を守れるのかな、と思ってしまうんだ。

 尊くん、やさしいだけじゃ、世の中渡っていくのは難しいよ。

 ましてや、君のような立場の人間は。

 ……私は、君の本気を見てみたいんだ」
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