というわけで、結婚してください!
「ああ、ちょっと話があって」
と言うと、

「はい、ヘルメット」
と渡された。

 物珍しく見ていたことに気づいていたのだろう。

「……どうも」
とそれを被り、一緒に中に入った。

「このホテルは、もうほぼ完成していると聞いていたんだが」
と絶賛工事中のレストランの中を見回し、言うと、窪田は笑って言った。

「ちょっと造り変えています。
 私の好きにしていいと会長が言われたので」

 相変わらず、太っ腹だな、と尊は会長である、いつも豪快な祖父を思い浮かべる。

 あの祖父に比べたら、やり手と言われる父も、ずいぶんと小物に思える、と尊は思っていた。

 女の問題でゴタつくところも――。

 同じ顔の女と浮気して、なにが楽しかったんだろうな……。

 しかも、性格はどちらも難ありありだぞ、と思いながら、天井を見上げる。
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