というわけで、結婚してください!

 高い足場が組まれた作業風景を見ながら、
「大聖堂の天井画の修復作業みたいだな」
と言うと、

「金はいくらかかってもいいそうですよ。
 納得のいくものにできるのなら」
と窪田は言う。

「道楽だな」

「そうでもないですよ。
 二年以内に、会長のおっしゃる売上目標を超えられなかったら、私はきっとクビです」
と言ったあとで、窪田は尊に顔を近づけ、

「大抜擢のあと、クビです。
 最悪ですよ!」
と訴えてくる。

「ですので、そのような事態にならないよう。
 尊様と鈴様も、ぜひ、お友達にご宣伝ください」
と言って、窪田は手を握ってきた。

「わ、わかったわかった……」

 幾ら男前とは言え、男に熱く手を握られるのは不気味なので、なんとか手を抜こうとしながら、尊は頷く。
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