というわけで、結婚してください!
さっき何処かへ出かけたまま、まだ戻ってきてはいないようだった。
うーむ。
本当に、ひとりになってしまいましたよ、とまだ風呂に入ったまま、鈴は思う。
このまま尊さんが帰ってこなかったら、マヌケだな……。
ひとり呑気に風呂になど入っている辺りが特に。
今、此処にお父さんたちが踏み込んできたら、どうしよう、と鈴は思った。
「なにをやっとるんだ、お前は~……」
とあの父でさえ、呆れて言葉を失いそうだ。
……出よう、と思い、鈴が浴室の扉を開けたとき、ちょうど、
「鈴、ディナーはテラスがいいか、部屋がいいかと、窪田が――」
と言いながら、尊が扉を開けた。
ぎゃーっ、と鈴は乙女にあるまじき悲鳴を上げてしまう。
「痴漢ーっ」
「違うっ」
「人殺しっ」
「全然違うっ」
「強姦魔ーっ」
「微妙に違……っ。
ってか、お前が勝手に開けたんだろうがっ」
――と怒鳴られた。