というわけで、結婚してください!
っていうか、征さんだったら、そもそも、そういう感じの復讐は企《くわだ》てない気がするんだが……と鈴は苦笑いする。
「この話、最初の段階なら、断ることもできたはずなのに。
ぼんやり流されたのは私なのに。
誰か助けに来てくれないかなって、うっかり教会で思ってしまって。
その扉を開けて、子どもの頃、夢見てたような王子様が助けに来てくれないかなって。
そしたら、貴方が現れたんです」
「……王子様に見えたか?」
と尊が訊いてくる。
「人さらいに見えました」
「そのまんまじゃねえか……」
「だって、最初は怖かったんです。
顔は、征さんと同じだし。
なにが起こったんだろうって。
でも、怖かったのに……
ついて来てしまったんですよ」
今でも、自分で自分が信じられない。