イケメンエリート、はじめての純愛⁇


咲子は、映司の腕を振りほどき小走りでドレッシングルームへ向かった。
映司はそんな咲子の後ろ姿を目で追いながら、タロウに電話をかける。
大至急、咲子を職場へ連れて行ってほしいと。


「咲子ちゃん、帰りもタロウ君を迎えに行かすから、絶対に一人で動いちゃダメだよ」


映司は、身支度を整えて部屋を出ようとする咲子の手を掴んでそう言った。


「あと、咲子ちゃんのご両親には俺の方からここに居るって連絡しとくから、何も心配しないでいい」


咲子は涙が出そうになった。
映司は自分の両親の事をちゃんと考えてくれている。
普通なら距離を置きたくなる人達なのに。


「分かりました。
タロウさんの迎えをちゃんと待ちます」


映司はホッとして、急ぐ咲子にキスをした。
すると、咲子は出て行こうとせず、何かを言いたそうな顔をしている。


「何? 忘れ物でも思い出した?」


そんな風に心配する映司の頬に、咲子は背伸びをしてキスをする。


「映司さん…
今日も、私を抱いてくださいね…」


そんなドキドキするような言葉を残して、咲子は部屋を後にした。
一人残された映司は、咲子の言葉の余韻だけで頭がクラクラしてしまう。

咲子ちゃんが可愛すぎて、俺は死んでしまうかもしれない……








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