恋愛零度。

そろりそろりとマロンに近づいていって、

『マロン、おやつあげる』

給食で出たマフィンの残りを差し出すと、

ガブッ。

手ごと食べられた。

『いったあー!』

『大丈夫っ!?』

奏多とお姉ちゃんが慌てて駆け寄ってきた。

『うわぁ……ごめん、真白ちゃん』

手にくっきりと2本の歯型。おまけに流血。

『平気だよ、これくらい』

私は言って、もう1回チャレンジしてみた。

ガブッ。

『いったあー!』

『真白ちゃん!』

『痛いならもうやめなよ!』

痛かった。だけど、どうしても、仲良くなりたいと思ったから。

『大丈夫。全然痛くないよ!』

そう言って懲りずに手を差し出したら、つぎは、噛まれなかった。

『えへへ、ありがとうマロン』
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