恋愛零度。

『ごめん。好きな人がいるから』

奏多が言った。
どくん、と私の心臓が跳ねた。
好きな人……?

『そっか、わかった』

女の子が去って、壁際で呆然と立ち尽くしていたら、

『真白、バレバレ』

と奏多が笑いながら顔を出した。

『奏多、好きな人いるの……?』

『いるよ。卒業したら、告白するつもり』

奏多ははっきりそう言った。

『そ、そうなんだ……』

私は笑ったけれど、ショックだった。

奏多に好きな人がいるなんて。

誰だろう。どんな女の子なんだろう。

その子は、奏多のことを好きなのかな。

一緒にいるところは見たくないなあ……。
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