恋愛零度。



「はあー。自分の目的は果たせなかったけど、大満足だよ。今度遊ぶときはそれ着てきてね!」

三好さんが満面の笑みで言う。

「うん、ありがとう」

早くこのワンピースを着てみたい。

服を買って、こんなにもわくわくしたのは、初めてだ。

「デートで着たら、桐生くんにもっと惚れられちゃうかもねー」

「デート……」

一瞬、このワンピースを着て一緒に出かけるところを、想像してしまった。

手を振って、待ち合わせをして、映画とか行ったりして……

「ーーな、ないないないっ!」

「あれ?なんかいま、一瞬間があったけど?」

からかわれながら、ビルを出て駅に向かった。
< 148 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop