【短】回覧板~小さな繋がり~
これが初恋な訳じゃない。
なのに、なんでだろ?
今までで一番、辛い。
小さい頃から一緒だったからかな?
綺麗な女の子だったな。
祐君もかっこいいから、きっと学校じゃ有名なカップルなんだだよね。
そのコと真剣な顔して話す祐君はなんだか遠い存在に思えた。
さっきの光景がフラッシュバックしてまた涙が溢れる。
「…もぅ、いや……。」
いや。
ミナも翔も祐君も遠くに行かないでよ…!!
あたしを置いていかないで……!
なんで泣いてるのかさえ分からなくなってきたとき、
―――ピーンポーン
チャイムが鳴った。
うそ。
どうしよう…。
こんな涙でグチャグチャの顔で出れるわけないじゃん。
声が漏れないように息を殺して居留守を使う。
―――ピーンポーン
「…美鈴!?」
「え?」
外から聞こえてきたのは祐君の声。
なんで?
―――カチャ…
ゆっくりとノブが下に下がり、ドアが開けられた。
「はぁ。居るんなら出てよ。」
「…なんで?」
泣きながらもやっと出した声は酷くかすれていた。