オトナの事情。
「まあ、さ。」
俺は打ちひしがれている健ちゃんに言葉を探す。
「…別に処女くらい奪ってやる覚悟はあるんだけどね。その後も毎日一緒に生活すると思うと、なんだ、一度覚えたら忘れられなさそうで?」
「ああ~、せやな、毎晩毎晩はさすがにお互い疲れるもんな~、て俺に何言わすねん!」
結局惚気かいな!なんて言いながら健ちゃんは車を降りて行った。
…本当は、俺が一番ビビってるんだ。
ルナがいなくなってしまった時、俺はどうなってしまうんだろう。
想像もつかない。
誰かと恋をする時はいつだってそうだけど、ルナは特別、俺の世界を変えすぎてしまったから。
いつの間にか見え方の変わった景色からルナが消えた時、俺は、あいつのこと、もう一度探してしまうに決まっている。
だから…ルナの身体を覚えてしまう恐怖が、その甘い誘惑をも超えてしまうんだ。