オトナの事情。
…でもルナ、そんなの、ズルいよ。
今まで言わなかったくせに。
俺には言わせなかったくせに。
こんな時に、初めて、好きって言うなんて。
「…でも、俺は、幸せだよ。今、ルナがここにいてくれるだけで、すごく幸せだ。」
ルナを放して、顔を見た。
確かに俺を好きと言ってくれたその唇に、確かめるようにそっと触れた。
「ルナ…俺を好きになってくれて、ありがとう。」
俺は努めて、笑いかけたつもりだったけど。
そのキスは、ルナをもっと泣かせてしまった。
…俺は、泣けなかった。
涙を流すルナが、この世のものとは思えないくらい、美しくて。
泣くのも忘れて見惚れていた。
見惚れながら、天女様に恋してしまった男には悲しい結末が待っていると、いつか聞いたことがあるのを思い出していた。