オトナの事情。
『忘れてたぁぁぁ!追っかけで見なきゃ…!』
どうも録画した番組を見忘れていたのか、リモコンを忙しくて操作している。
「ん?なんのばんぐ…み…」
『あら。ユキ君があっちにもこっちにも。』
それはついこの間収録した歌番組で。
『きゃーっ!これ歌うの?!私これ大好きー!!』
ルナは興奮して俺のことをバシバシと叩きながら、きゃーきゃー騒いでいる。
ああ、ファンだったよ、こいつ。
『うふふっ。ユウジかわいー!』
司会者からの質問に悠二が答えるたびにニヤニヤしたり、笑ったり、俺が映ればこっちをチラチラ見てみたり。
かと思えば、彼女が大好きだと言うこの曲が始まった途端、何故か俺の手をギュッと握って、真剣に聴き入っている。