溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~

呆気にとられた優花が引っ張られるようにして足を数歩出したとき、目の前にいきなり影が差す。片瀬が立ちふさがったのだ。


「あぁ片瀬か。驚かせるなよ」


優花も、突然の登場にはびっくりだ。しかも、どことなく不機嫌そうな顔をしている。

滝口が軽くトントンと片瀬の肩を叩きながらすれ違おうとすると。


「優花をどこへ連れていく気?」


片瀬がもう片方の優花の手を掴んだ。


「え? 〝優花〟って……」


そう呟きながら滝口の視線が下へと移動する。自分と同じように優花と片瀬の手が繋がれているのを見て、首を捻った。
なにが起きているのか理解不能なのだろう。


「悪いけど、優花は俺と帰るんだ」


片瀬はそう言いながら、いつまでも放そうとしない滝口の手をやんわりと優花から外させた。
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