溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~

ここへ来るまではなんとなく実感が湧かずにいたが、いよいよ相手と会うのかと思うと、遅ればせながら優花に緊張が走る。

(お母さんも素敵な人って言ってたし、平気だよね。大丈夫、大丈夫)

自分に言い聞かせるように何度も心で呟く。
運ばれてきたコーヒーをひと口飲み、腕時計を確認すると、ちょうど長針が十二を指し示した。

(そろそろかな……)

何気なく入口に目をやった優花はそこで、あまりの光景に息を飲んだ。バラを持った人が現れるには現れたのだが、一輪どころの話じゃないのだ。

両手に抱えきれないほど、いや、胸いっぱいと言えばいいのだろうか。そこまで大きなバラの花束を優花は見たことがない。
花屋に並んでいるものより、もっと大量だ。おかげで、その人の顔すら見えない。

ラウンジにいた人たちの視線もいっせいにそちらを向く。あれでは人の目を引かないわけにはいかないだろう。

(まさかあの人がお相手……?)

背の高さとスーツという出で立ちから察するに男性だとは思うが、果たして彼が優花と待ち合わせをしている見合い相手なのだろうか。
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