溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~
(まさか、そんなはずは……)
そう否定する裏側で、鼓動がスピードをぐんぐん上げていく。
「優花」
名前を呼んだ彼がバラの脇から顔を覗かせた瞬間、優花はその場で身動きができなくなった。片瀬だったのだ。
(たまたま私を見かけたから声をかけてきたの? それとも……)
一瞬だけ過った、見合い相手が片瀬という考えは、あまりにも現実味がなさすぎて打ち消さざるを得ない。
大きなバラの花束にも負けない華麗な姿を前にして、この期に及んで優花は胸が高鳴ってしまう。
「優花、ごめん」
「……なにが?」
声が上ずって震える。
「優花を傷つけたこと」
「そのことはもう――」
「迎えにきたんだ」