溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~

両親の心配もわからなくはない。
なにしろ優花には恋愛経験がこれまでに一度もないときている。そのことを知っていればこその心配だろう。


「結婚なんてまだまだ先でいいと思うけどなぁ」


本当にその通りだ。
片瀬の意見に優花も賛同。大きく頷いた。


「ところで優花は、来週末にある高校の同窓会は行く?」
「あっ……」


優花は、その返信ハガキを出すのを忘れていたことを思い出す。実家に届いた案内は、母親が別の荷物と一緒に優花のアパートに送ってくれていた。

でも、返信はいつも決まって〝いいえ〟。優花はこれまでに一度も参加したことはない。今回もそのつもりでいたが、転職のごたごたですっかり忘れていた。


「どうかした?」
「返信ハガキを出し忘れちゃって……。でも行かないから平気だと思うけど」

返信のないハガキは〝いいえ〟で処理されているだろう。
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